お役立ちコラム

空調設備の歴史と進化した最新の技術を解説

2024.05.08

空調設備とは「空気調和設備」を省略した言い方で、湿度や温度、気流の調整・空気清浄を行う設備のことです。
冷暖房を行う「エアコン」とほとんど同じ意味で使われることが多いようです。

空調設備は、どのような歴史を歩んできたのでしょうか。

 

現在の空調設備が歩んできた歴史を知ることで、その進化や利便性を理解することができるでしょう。

この記事では、空調設備の歴史や進化した最新の技術について解説します。

空調設備の歴史と進化した最新の技術を解説

冷房の歴史

暑さに関して、人類は自然の涼しさを利用するしかありませんでした。
冷房の歴史は以下のような流れとなっています。

世界の歴史:

・【古代エジプト時代】つぼに水を入れ、大きなうちわを使って奴隷があおぐ
・【紀元33年ローマポンペイハウス劇場】水路を客席に設けて香りのある水を流す
・【ローマ皇帝バリウス・アビタス】雪の山を邸宅庭に築き、吹き抜ける冷風を使用
・【1880年頃~】冷房の原型である「氷冷房」や「冷凍機」が開発
・【1906年】アメリカの「ウィリス・キャリア」が冷房を発明

日本の歴史:

【~1644年】氷を利用した方法を使用
【1773年】雪や氷を使用した冷房が登場

暖房の歴史

そもそも暖房には、以下の4つの種類があります。

 

① 個別暖房:ストーブなどを個別に室内に設置
② 中央暖房:蒸気や温水、温風をボイラーや温風炉でつくり室内に分配
③ 直接暖房:放熱器を室内に設置
⓸ 間接暖房:室外の熱風・温風を室内に送風

 

暖房の歴史は以下の流れを見てみましょう。

世界の歴史:

・【原子時代】火を使って暖めていたが、その後燃焼ガスを使った床下暖房が登場
・【1800年代後半~】鋳鉄製ボイラーがアメリカで製造

日本の歴史:

・【奈良時代】日本最古の火鉢である火舎を利用
・【室町時代】こたつ・あんか
・【鎌倉時代~江戸時代】火鉢
・【明治時代】ストープ
・【大正から昭和時代】石油・ガス・電気ストーブなど
・【第二次世界大戦後】建物の断熱化や気密化が進み、ストーブや暖炉が普及
・【オイルショック後】暖房機器が普及

エアコンの歴史

「エアコン」とは「エアーコンディショナー」の略で、空気の温度や湿度を調整する機能を持つ装置で、一般的に冷房・暖房の両方の機能を持ちます。
現代では、空調設備と言えばエアコンが主流です。

日本のエアコンの歴史

・【1934年】大阪金属工業(ダイキンの前身)が開発したミフジレレーターが登場
※当時は高価であったため、少数の劇場や事務所、電車などでのみ使用
・【1960年頃】冷房と暖房が切り替えられるヒートポンプ式のエアコンが一般家庭に普及
・【1974年頃】「省エネ」という言葉が誕生し、省電力型のエアコンが多く開発・販売
・【1977年以降】ICやマイコンによる制御機能が搭載されたエアコンが販売
・【1980年~】建築基準法が改正され(省エネ法)、住宅建築に「断熱」という言葉が誕生
・【1990年以降】エアコンの性能・価格競争が進み、利便性の高いエアコンが続々開発

エアコンの最新技術

最新のエアコンの進化は目覚ましく、以下のような最新技術を取り入れたものが市販されています。

空気清浄運転

花粉・たばこの煙・浮遊菌などの除去・除菌機能があります。

温度や風量の自動調整

「エコ自動機能」など、最新のエアコンは、センサーなどを使って温度や風量を自動で調整できますし、冷暖房するエリアを絞ることも可能です。
そのため、節電効果があります。

インバーター運転

早く冷房や暖房をしたい時には最大のエネルギーで、部屋が適温になったら必要最小限のエネルギーで運転することで、省エネ運転を実現します。

再熱除湿と熱リサイクル方式

通常、部屋を除湿すると室温は下がりますが、室温を下げずに除湿することが可能です。
この機能を「再熱除湿」といいます。
除湿されると室温が高くても快適です。

 

また、室外機から排熱される熱を室内側に取り入れ、再熱することができます。
この方式が「熱リサイクル方式」です。

「最熱除湿」と「リサイクル方式」によって省エネが実現できます。

ヒートポンプ

室外の空気から吸収したエネルギーを室内に移動させて暖房に利用する技術が「ヒートポンプ」です。
電気を使って大気の熱を室内に移動させるだけなので、CO2の排出を少なくすることができます。

フィルター自動清掃

フィルターにほこりがたまると、エアコン効率が低下し、過剰なエネルギーを消費してしまいます。
フィルターに自動清掃機能があれば、いちいち人手で清掃する手間がかかりません。

自動クリーニング

ホコリ・カビ・菌ニオイなどのエアコン内部への付着を抑えたり、取り除いたりするためのクリーン機能です。

学習機能

AIや高性能センサーを使って、部屋の状況を学習し、体感温度を見極めて快適な空調を実現します。

IoT

「IoT」 とは、さまざまな電子機器、家電製品、電子機器などが、ネットワークを通じて相互に情報交換できる仕組みです。
スマートフォンで外出先から空調の操作や運転状況の確認ができます。

まとめ

ここまで、エアコンを中心とする空調設備の歴史や、最新の技術などについて解説してきました。
空調設備はこれまで大きな進化を遂げており、今も進化を続けています。

最新の冷暖房設備として求められるポイントは、「涼しい」「温かい」「体に優しい」「省エネ」「便利」という点です。

 

暖か過ぎず、寒過ぎず、自然で快適な環境が求められています。

空調設備の究極の進化は、より自然なものに近づくことではないでしょうか。

関連記事

人手不足に悩む業界は多い?女性も安心して働ける取り組み工夫を紹介

人手不足に悩む業界は多い?女性も安心して働ける取り組み工夫を紹介

子育てや介護など制約がある中で「働きたい」と考えている女性も多くいます。   ● 人手不足の業界があるの? ● 条件があっても採用しても……

配管技能士とはどんな資格?受験資格やできる仕事の内容について

配管技能士とはどんな資格?受験資格やできる仕事の内容について

配管工の仕事をしたいと考えている人は、配管技能士の取得を目指してみませんか。 もちろん、配管技能士の資格を持っていなくても配管工として働くことはできます。 ……

水回りのトラブルにはどう対処したらいい?水道修理前の応急措置や水道修理業者に依頼できることなどを解説!

水回りのトラブルにはどう対処したらいい?水道修理前の応急措置や水道修理業者に依頼できることなどを解説!

水回りのトラブルはそんなに頻繁に起きるものではありませんが、実際に起きるとかなり焦ってしまいます。 残念ながら、修理を請け負う中には不当に高い請求を行う悪質な……

主任技術者とは?仕事内容から建設業法における位置付けまでを解説!

主任技術者とは?仕事内容から建設業法における位置付けまでを解説!

工事現場では様々な技術者が業務を行っており、一例として主任技術者が挙げられます。 主任技術者は、建設業法に基づき工事現場への設置が義務付けられた技術者で、主に……