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現場仕事で女性の割合が低い理由とは?近年、女性が必要とされている理由についても解説!

2023.06.27

「建設現場は男の職場」というのが長い間の常識でした。
現代でも、建設現場で働く女性は決して多くありません。
体力面以外で女性が少ない理由として、女性向けの職場環境が整っていないことや職場の意識改善が進んでいないことなどがあげられます。

 

しかし、近年は労働者の減少や女性ならではの能力を活用する必要性などから、現場で働く女性が増えつつあります。

今回は建設現場で女性が少ない理由や女性が必要とされる理由、「けんせつ小町」の取り組みについて紹介します。

現場仕事で女性の割合が低い理由とは?近年、女性が必要とされている理由についても解説!

現場仕事とは

現場仕事とは、工事現場で作業する仕事のことです。
大工やとび職人、土木作業員、塗装作業員、左官職人などが現場仕事を担っています。
屋外での作業や体力勝負の仕事が多いことや休みが少なく、汚い・危険・キツイといったネガティブな印象を持たれがちで、慢性的な人手不足となっています。

建設業で働く女性の割合

2014年の調査によると、建設業全体の就業者数は約506万人で、そのうち女性の割合は75万人で、全体の14.9%を占めます。
全産業の女性割合の平均が43.0%であることを踏まえると、かなり割合が低いといえます。

 

しかし、これは事務職員を含めての数字です。
実際に現場の作業を担う下請けの建設技能者344万人のうち、女性の割合は8万人。
わずか2.3%に過ぎません。

2020年の調査で女性技術者の数は7.9%まで増えましたが、それでも低い割合であることは否めません。

なぜ、建設業で働く女性が少ないのか

女性割合が低い理由の一つは体力面がネックとなるからですが、それ以外にも女性割合が低い理由があります。

体力以外の面で、女性が少ない理由について解説します。

環境が整っていない

女性が少ない理由の一つが環境面での不備です。
男性中心の歴史が長い建設業では、多くの現場で女性に配慮した設備が備わっていません。
たとえば、女性専用の休憩所・待機所やトイレ、更衣室といった設備がないケースも珍しくありません。

従業員の意識変革が遅れている

職場全体、あるいは従業員の中で女性を現場作業員として受け入れる雰囲気が形成されていないことも女性が少ない理由です。

男女平等の考え方が広がる中、女性の進出が遅れていた建設業の現場では、女性は力仕事に向いていないと考え、排除してしまったり特別扱いしてしまったりするケースがあり、女性が働きにくいと感じてしまう場合があります。

こうした職場では女性を受け入れる意識改革が求められるでしょう。

女性が建設業で必要とされる理由は?

これまで、男性中心だった建設業協会。
なぜ、女性を受け入れようという考え方が生まれたのでしょうか。
男女平等の促進以外にも、女性の力を必要とする理由があるのです。

労働人口の減少

建設業は慢性的な人不足にあえいでいます。
求職者一人に対し何件の求人が来ているかをあらわす有効求人倍率をみると、
2023年4月の全体の有効求人倍率は1.32倍ですが、建設・採掘は5.6倍と圧倒的に人が足りないことがわかります。

加えて、少子高齢化が進んだことで15歳から64歳までの生産年齢人口が大幅に減少しています。

 

2021年に7,450万人だった生産年齢人口は、2030年には6,875万人まで減少すると予測されています。

もはや、男性労働力だけに頼ることは難しい時代です。
女性の力をいかに活用するかが企業の生き残りに大きな影響を与えているのです。

女性ならではの能力を活用したい

一般に、女性が優れているとされるのがコミュニケーション能力です。
さまざまな部署とコミュニケーションをとりながら、資材発注や進捗状況・スケジュールの把握などメンバー間の意思疎通が欠かせません。
特に、プロジェクトが大きくなればなるほど、関係者同士の密なコミュニケーションが必須となります。

関係各所と折衝してスケジュールを調整したり、現場レベルでチームの協力体制を構築するときに、女性のコミュニケーション能力は大いに役立ちます。

 

また、これまでと全く違う発想をするときにも女性の目線が欠かせません。
これまでの建設業の常識は男性中心の作業風土の中で醸成されたものであり、これに風穴を開けるには全く別の女性的な視点が必要だからです。

日本建設業連合会による「けんせつ小町」の取り組み

日本建設業連合会は、建設業における女性の定着率を高めるため「けんせつ小町活躍推進計画」を策定しました。
けんせつ小町とは、建設業で働くすべての女性の愛称として日本建設業連合会が命名した呼称です。

具体的には、女性が定着しやすいようトイレや休憩所の環境を改善することや、育児休暇の取得支援などが計画されています。

建設業に女性が増えることで、働き方の多様さが広がり、職場環境の改善や長時間労働の是正が進むと期待されています。

まとめ

今回は建設現場で働く女性の割合が少ない理由や、女性が必要とされる理由について解説しました。

人口減少や社会の変化は、これまで男性中心だった建設業にも大きな影響を及ぼしつつあります。
日本建設業連合会が「けんせつ小町」を推奨しているように、今後は建設業の現場で女性の活躍する場が増えていくのではないでしょうか。

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